教えのやさしい解説

大白法 490号
 
令法久住(りょうぼうくじゅう)
「令法久住」は、「法をして久(ひさ)しく住(じゅう)せしめん」と読みます。
 法華経の『見宝塔品(けんほうとうほん)』に、
  諸々(もろもろ)の大衆に告(つ)ぐ 我(わ)が滅度の後(のち)に誰か能(よ)く斯(こ)の経を護持(ごじ)し読誦(どくじゅ)せん 今仏前(ぶつぜん)に於(お)いて 自ら誓言(せいごん)を説け(中略)当(まさ)に大願を発(ほっ)して久しく住することを得(え)せしむべし(開結四一四)
と説かれているように、法華経の教えが未来永劫(えいごう)に亘(わた)って正しく護(まも)り伝えられていくことをいいます。
釈尊が大衆に向かい、滅後における法華経の弘通を三回に亘って勧(すす)め命じた「三箇(さんか)の鳳詔(ほうしょう)」(付嘱有在(うざい)・令法久住・六難九易(くい))の内の一つです。
 釈尊は、法華経の「令法久住」のために、法華経『神力品』で地涌(じゆ)上行菩薩に対して法華経の要法を付嘱し、さらに『嘱累品(ぞくるいほん)』で迹化(じゃくけ)等の菩薩衆に対して法華経をはじめとする一切諸経を付嘱(ふぞく)しました。
 釈尊は、この付嘱の手続きによって、迹化本化(ほんげ)等の弟子に仏法の弘通(ぐずう)と「令法久住」を命じられました。
 そして現実に、付嘱を受けた方々が正像(しょうぞう)二千年の間に竜樹(りゅうじゅ)・天親(てんじん)・天台・伝教と出世して、その大任(たいにん)の上から応病(おうびょう)与薬(よやく)の為の小・大乗経及(およ)び法華経を説いて衆生を利益(りやく)しました。
 そして、末法の世(よ)に、法華経の要法を所持された上行菩薩の再誕(さいたん)、日蓮大聖人が御出世(ごしゅっせ)されたのです。
 大聖人は、『諸法実相抄』に、
 「釈迦仏・多宝仏・十方の諸仏菩薩、虚空(こくう)にして二仏(にぶつ)うなづき合ひ、定めさせ給ひしは別の事には非(あら)ず。唯(ただ)ひとへに末法の令法久住の故なり」(新編御書六六七)
と説かれています。結要(けっちょう)付嘱の人である大聖人からすれば、虚空会(こくうえ)の儀式は末法の法華経、すなわち文底下種の南無妙法蓮華経を令法久住するための儀式である、と仰せです。
大聖人は、三大秘法を建立され、末法万年の弘通と「令法久住」のために、『日蓮一期(いちご)弘法(ぐほう)付嘱書』に、
 「日蓮一期の弘法、白蓮(びゃくれん)阿闍梨日興に之(こ)れを付嘱す、本門弘通の大導師たるべきなり(中略)血脈(けちみゃく)の次第日蓮日興」(一六七八)
と、下種仏法の法義を信解(しんげ)し、大聖人と一体の境地に至った日興上人に法門法体(ほったい)の一切(いっさい)を付嘱されました。以来七百年、唯授(ゆいじゅ)一人(いちにん)の血脈(けちみゃく)により、大聖人の下種仏法は正しく「令法久住」されてきました。
 涅槃経に、「内(うち)には弟子有って甚深(じんじん)の義を解(さと)り、外(そと)には清浄(しょうじょう)の檀(越だんのつ)有って仏法久住せん」と説かれているように、大聖人の仏法は、極理(ごくり)修学した弟子(御法主上人と、御法主上人に信伏(しんぷく)随従する一般僧侶)による内護(ないご)と、純真な信徒の外(護げご)の両者が一体なったところに正しく「令法久住」されてきたのです。
 私たち僧俗は広宣流布のため、唯授一人の血脈を承継(しょうけい)された御法主上人の御指南を拝し奉り、内護外護両面より一致団結して仏法の正義(しょうぎ)を「令法久住」していかなければなりません。